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第25回 フリートーキング“Imaging Today”
『最先端の電子写真シミュレーション・解析技術』
 日本画像学会誌206号(2013年12月発行)ではクラスタ論文特集として,「最新の基盤解析技術」と題して,電子写真,インクジェットプロセスに関わる最先端の数値シミュレーション,計測技術を取り上げました.
   数値シミュレーションや物理計測・材料分析技術などの解析技術は,画像形成プロセスや材料のもつ課題 を物理現象として理解し,合理的に解決する重要な基盤技術であり,技術・商品開発を効率化する技術としても活用が広まってきています.昨今は,計算インフラや,計測装置,分析装置の性能の高度化にともなって, 解析技術レベルが飛躍的に高まり,解析対象もよりミクロに,また,より大規模になってきています.このような 中で,今回のクラスタ論文特集を企画しました.電子写真の帯電,露光,現像/トナー,転写,定着,用紙の各 サブシステムと材料,そしてインクジェットに関して,理論解析から,有限要素法,有限差分法,個別要素法な どの数値計算手法,さらに応用手法まで多岐にわたっています.
   今回のフリートーキング“Imaging Today”では,学会誌206号の掲載論文のうち,特に電子写真シミュレーション・解析技術にフォーカスし,執筆者の皆様にそれぞれの英文論文を口頭(日本語)で解説を戴きます.参加者の皆様に理解を深めていただき,ざっくばらんに議論する機会として企画しました.関連する技術者・研究者の皆様が今後の方向性をつかむための一助となれば幸いです.
日 時: 2014年6月27日(金)10:15〜18:30  (受付開始 9:30)
(講演:10:15〜17:10、情報交換会:17:10〜18:30)
場 所: 東京工業大学 すずかけ台キャンパス すずかけホール (2F 集会室1)
(〒226-8503 神奈川県横浜市緑区長津田町 4259)
会場へのアクセス:
東急田園都市線 すずかけ台駅下車 徒歩約5分
http://www.titech.ac.jp/about/campus/s.html
 
参加費: 定員60名
会員:3000円、非会員:5000円、学生:1500円
◆参加費には講演資料を含みます。
1コイン情報交換会:500円
参加ご希望の方は、本文に氏名・所属,会員(会員No.)/非会員/学生(会員の場合は会員No.)の別を記入し、日本画像学会事務局(event@isj-imaging.org)までメールでお申し込み下さい。(講演会、情報交換会) 当日申し込みも可能です。
なお、参加費は当日、会場で集めます。その際、会員は会員証を、学生は学生証をご提示ください。

プログラム
「最先端の電子写真シミュレーション技術」
(日本画像学会誌206号掲載)  
10:15〜10:25 開会の挨拶
日本画像学会 編集委員長   中山 信行
10:25〜11:15  ●正帯電DC スコロトロン設計のための数値シミュレーション
ブラザー工業(株)  小林将人
11:50〜12:05  ●電子ビームプローブによる感光体静電潜像の高分解能計測
(株)リコー  須原浩之
12:05〜12:40  ●定着プロセスにおける静電オフセット解析
キヤノン(株) 江口弘樹
12:40〜13:30    − 昼休み −
13:30〜14:20  ●トナー定着のシミュレーション
キヤノン (株) 大西拓馬
14:20〜15:10  ●粘弾塑性モデルによる用紙カール矯正量予測シミュレーション技術の構築
富士ゼロックス(株) 高橋良輔
15:10〜15:20    − 休 憩 −
15:20〜16:10  ●電子写真2成分磁気ブラシ現像システムにおけるトナー・キャリア挙動の数値シミュレーションと観測
早稲田大学   川本広行
16:10〜17:00  ●転写シミュレーションの進化
(株)リコー   門永雅史
17:00〜17:10 閉会の挨拶
日本画像学会 編集委員会
17:10〜18:30 1コイン情報交換会
      講演順、時間帯に関しましては今後都合により変更の可能性がありますので最新の情報をご確認ください。
      許可された場合を除き、写真または動画の撮影や録音はできません。


写 真 アブストラクト 略 歴
[論文] 正帯電DCスコロトロン設計のための数値シミュレーション
ブラザー工業(株) 小林将人
 レーザープリンタにおける正帯電DCスコロトロン設計において重要な、1:OPC帯電能力, 2:イオン風による流れ場,3:オゾン濃度分布の3つを同時に評価可能な数値 ミュレーションモデルを開発した。帯電後のOPC表面電位、イオン風の実測値を、数値シミュレーション結果がよく再現することが分かり、モデルの妥当性が検証された。
高速印字用スコロトロン設計のため、コロナ電流増加が正帯電スコロトロンの3評価項目(帯電能力、イオン風、オゾン濃度)に与える影響を調査した。その結果、コロナ電流増加に伴い帯電効率減少、オゾン排出濃度上昇することが分かった。このことは、高速印字用のスコロトロン設計においては、コロナ電流増加に加え、形状変更などによる帯電能力上昇が必要であることを意味する。
  2005年京都大学大学院理学研究科博士後期課程(物理学・宇宙物理学第二分野専攻)修了.
2010年ブラザー工業株式会社入社.レーザープリンタプロセス部の物理シミュレーション技術開発に従事. 主任. 博士(理学).
[論文] 電子ビームプローブによる感光体静電潜像の高分解能計測
(株)リコー 須原浩之
デジタル複写機やレーザープリンタでは、露光後に形成される感光体静電潜像が、トナー粒子の挙動に直接影響を与える重要なファクターであり、可視化計測する ことが望まれていたが、ミクロンスケールでの高分解能計測ができなかった。
 そこで、電子ビームをプローブとして用いる真空環境の計測装置内に、電子写真の静電潜像を再現するための帯電手段と露光手段を備え、走査電子ビームでその場観察を行う手法を考案した。帯電手段としては、電子ビーム照射により意図的にチャージアップさせることで、所望の帯電電位を設定することが可能となった。
 講演では、静電潜像計測の原理と測定結果を説明すると共に、作像プロセス技術開発に繋がる潜像形成メカニズムの新たな知見についても報告する。
  1989年早稲田大学理工学研究科物理学及び応用物理学専攻修了。同年、株式会社リ コー 画像技術研究所に入社。光干渉を用いた光学素子計測法の研究開発,荷電粒子光 学を応用した計測技術開発及び電子写真の潜像形成メカニズムの研究開発に従事。現 在、画像エンジン開発本部に所属。.
[論文] 定着プロセスにおける静電オフセット解
キヤノン(株) 江口弘樹
 電子写真の定着プロセスにおいて、静電オフセットと呼ばれる不具合現象がある。これは、紙上のトナーが静電的な力により一旦定着部材に付着した後、定着部材一 周後に定着部材上のトナーが紙に付着することで画像汚れが発生する現象である。
静電オフセットの発生レベルは、定着部材の電気抵抗値と排紙ローラの接地電位で変わることが知られている。本報告では、構造計算で定着ニップ形状を求め、定着ニップ近傍の電界を計算した。その結果より、静電オフセットが発生する物理的なメカニズムを考察した。さらに、静電オフセットの発生レベルが、定着ニップ近傍の電 界強度とトナーのトリボ分布から予測できることを明らかにした。
  2009年大阪府立大学大学院工学研究科(電子・数物系専攻)修士課程修了。同年キヤノン株式会社に入社。以来、電子写真の開発業務に従事している。.
[論文] トナー定着のシミュレーション
キヤノン(株) 大西拓馬
 定着プロセスの設計で重要な定着強度を予測するためのシミュレーションモデルを提案した。定着強度は、トナーがニップ内で変形して紙との接触領域が増えることで高くなるため、このモデルでは特に、紙の表面粗さとトナーの粘弾性が接触領域に及ぼす影響に着目した。紙の表面粗さへの定着部材の追従性を構造シミュレーションで解析することにより、トナーは、ニップ内で加圧されるものと加圧されないものがあることがわかった。さらに、それぞれの加圧条件において、粘弾性流体シミュレーションで求めた接触領域は実験とよく一致することを示した。本モデルを用いれば、実機条件での定着強度を解析的に予測することができる。
  2002年岡山大学自然科学研究科(電子情報システム工学専攻)博士前期課程を修了。同年キヤノン株式会社に入社。電子写真プロセスの数値シミュレーションの技術開発と物理現象の解析に従事。.
[論文] 粘弾塑性モデルによる用紙カール矯正量予測シミュレーション 技術の構築ン
富士ゼロックス(株) 高橋良輔
 用紙カールは複写機における重要な品質課題の一つであ.用紙カールを抑える施策のひとつにデカーラがある.デカーラでは,主に用紙を大きく曲げながら搬送することでカールを矯正するが,その矯正量はデカーラローラの径,押し込み荷重,搬送速度など様々な要因で変化する.さらに矯正するべきカール量は用紙種によって異なるため,デカーラのパラメータ設計には莫大な工数を要する.そこで本研究では,用紙の粘弾塑性モデルに基づいたカール矯正量予測シミュレーション技術の構築を行った.それにより,カール矯正量を高い精度で予測できるシミュレーション技術を確立し,デカーラのパラメータ設計工数を大幅に削減することができた。
  2006年同志社大学工学研究科修士課程(工業化学専攻)を修了.同年,富士ゼロックス株式会社へ入社。以来,熱解析,構造解析,流体解析を中心としたマーキングプロセスのシミュレーション技術の研究開発と,シミュレーションを活用した設計活動に従事.日本画像学会,日本機械学会会員。.
[解説] 電子写真2成分磁気ブラシ現像システムにおけるトナー・キャリア挙動の数値シミュレーションと観測
早稲田大学  川本広行
 電子写真の2成分磁気ブラシ現像システムにおけるトナーやキャリアの動特性を、有限差分法による電磁場・流れ場解析と個別要素法による粒子挙動解析を組み合わせた数値シミュレーションによって計算し、現像特性だけでなく、エッジ部の像ボケやキャリア付着などの画像欠陥の原因解明と対策を行った。また計算結果を、3次元レーザ変位計や高速度顕微鏡カメラによる直接観測の結果と比較検討し、微視的な現象の理解に役立てた。
  1972年,広島大学工学部電気工学科卒業,1983年,工学博士 (東京工業大学).日立製作所,富士ゼロックスを経て,1999年より,早稲田大学理工学術院教授.電磁力関連のダイナミクスに関する研究に従.2007年,Carlson Memorial Award受賞,2010年,Charles E. Ives Journal Award受賞,2013年,日本画像学会賞受賞,IS&TFellow,日本機械学会フェロー..
[解説] 転写シミュレーションの進化
(株)リコー  門永雅史
 本講演では、最近の転写シミュレーションについて紹介していきたいと思う。電子写真の転写プロセスは、物体移動に伴う電荷の移流や、放電の影響を受けた電界中でのトナーの動きを考慮する必要があるため、非常に複雑なプロセスであり、高精度なシミュレーションが困難であった。しかしながら近年の計算技術の発展によって、3次元シミュレーションが可能となり、新しい報告がなされている。本解説では、近年に発表された、いくつかの3次元計算モデル(3つの転写プロセス解析モデルとトナー形状を考慮する粒子モデル)を紹介したい。これらのモデルにより計算の信頼性が向上し、設計へのより有用なツールとなることが期待される。
  1987年東京大学工学部物理工学科卒業。1989年同大学工学部物理工学系修士課程終了。同年(株)リコー入社。現在同社デジタルエンジニアリングセンターにて、電子写真、インクジェット等のシミュレーションに従事。日本画像学会会員、シミュレーション技術部会主査。博士(工学).

★ 本企画担当編集委員:中山(富士ゼロックス)、竹内(キヤノン)、美才治(リコー)、
★ フリートーキング担当編集委員:龍田(富士フイルム)、鈴木(元リコー)、中山(富士ゼロックス)
★ 問い合わせ:一般社団法人 日本画像学会、TEL 03-3373-9576、E-mail: event@isj-imaging.org

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