第67回 イメージングカフェ  レポート


2018年4月20日(金) 18:30より、東京工業大学 大岡山 蔵前会館にて第67回イメージングカフェを開催しました。今回はアイメジャー株式会社社長の一ノ瀬修一氏をお招きし、「特殊イメージスキャナーの世界 〜ギガピクセルの大型イメージスキャナによる驚異の高解像度画像に触れてみよう〜」と題し講演いただきました。参加者は22名(講師、企画委員含む)でした。

前半は、セイコーエプソンで開発に携わられたGTシリーズの話を中心に、イメージスキャナーの方式分類から始まり、歴史が紹介されました。
GT4000では光源を水銀灯ではなくキセノンガスを使った冷陰極蛍光管を採用したことで温度による発光スペクトルが安定しインスタントスタートが可能になったこと。SCSIインターフェースや誤差拡散を搭載した事でアップルユーザーから支持を集め、DTP革命と呼ばれるような大ヒットに至った経緯などを紹介いただきました。

次に、物体をキャプチャーする際のカメラとスキャナーの違いについて解説されました。
カメラの場合、ワンショットで簡便に撮れる一方で、中心投影となるため画像歪みが避けられず寸法精度の問題が出てしまうことや、照明もどうしても正反射成分を排除できないことなどが課題となります。一方、スキャナーは少なくとも副走査方向に対しては平行投影となり歪みなく高い寸法精度で取り込め、さらに照明も拡散反射のみを取り込むことが可能であることが特徴です。(しかし、一般の縮小光学系のスキャナーでは主走査方向については中心投影であることに注意)

また、解像度の考え方についてもお話しされました。
ヒトの視力1.0とは角度1分の分解能に相当しますが、即ち30cm先で87μm、291ppiに相当するため、一般のデジタルアーカイブの要求仕様は300〜400ppiとされているそうです。オフセット印刷(175線)が350ppiに相当することから、現在のスキャナーの解像度は通常は必要充分なレベルと考えられます。とはいえ、江戸時代の浮世絵の美人画の髪の毛の精緻さはこれを遥かに超えていることなども紹介されました。

後半はアイメジャー社を立上げられてからの、文化財向けのオルソスキャナーの話題です。
発端は土木計測の事務所からの依頼だそうです。建設工事中に遺跡などが見つかった場合、出土品すべてについて正確な実測図を描き、それを添付した報告書の作成が文化財保護法で義務付けられており、如何に早くリポートを提出するかが大きな課題でした。依頼元の建築事務所はこの解決のために独自でスリット写真機を作製したりして対応していましたが、デジタル化を契機としてアイメジャー社に依頼がきたのだそうです。立体物をスキャンする場合、従来のスキャナーの光学系では主走査方向については中心投影なので上述の画像歪みやパースの問題が起こりうまくいきませんでした。
そこで、一ノ瀬氏はテレセントリックレンズの活用に思い至り、歪みのない正確な寸法でのキャプチャーを可能としました。また絞りを調整する事で古地図や古図面がテーブルから1mm浮いていても正確にスキャン可能となりました。得られた画像データに歪みがないため、PhotoShopで簡単にパノラマ的に繋げたり、レイヤー処理で異なる焦点距離の画像を組み合わせる事で立体的な表現も可能となる事が紹介されました。

最後に、高精細ディスプレイでこれらの実際の高精細スキャン画像を皆で体感しました。今回は、EIZO社とEPSON社のご協力で特別に最新型の4Kディスプレイを持ち込んでいただきました。特にコントラスト比100万対1、1000Cdの4Kディスプレイ(300万円!)は圧巻で、圧倒的な質感に参加者からは感嘆の声が上がりました。

今後はデジタルアーカイブ活用による文化財の保護、デジタル顕微鏡的な新たな鑑賞法、VR用のコンテンツとしてオルソスキャナの活用を提案して行くとのことです。


記・企画委員 森川 尚(富士ゼロックス)


次回(第68回)は5月23日(水)に開催予定です。詳しくは開催案内をご覧ください。