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公益法人の法律改正を機に、本学会は一般社団法人の法人格を取得することを決め、2008年から準備を始めて、この4月1日に一般社団法人日本画像学会としてスタートした。私はこの節目の年に会長として就任させて頂くことになり責任の重さを感じる。これまでは任意団体であり先輩諸氏が定めた定款を下に、ある意味アットホームな運営がなされてきた。先の6月の総会は新定款の下で初めて開催されたものである。このときは会員の意志を十分に酌み取るため、出欠を従来のハガキに加え新たにインターネット経由でも集計できるようにした。また、出席できない会員が議案に対して賛否の意志を明示できるシステムも導入した。新定款の策定、総会に向けた準備に、前平倉会長の下、前々年度および前年度の理事団の多大な努力があったことに感謝したい。
振り返ってみれば、本学会は1958年に「電子写真学会」として設立された。今年はそれから52年目にあたる。ここでは、本学会の大きな変遷について概観し、先輩諸氏の学会運営に対する熱い思いを受け継ぎたい。学会設立当時はジアゾ複写機が全盛であったが、その後10年ほどで酸化亜鉛紙を用いた電子写真複写機がそれに置き換わり、次いで普通紙を用いた電子写真複写機が学会の主テーマになってきた。
これを受けて、1978年に学会誌の名称を「電子写真」から「電子写真学会誌」に改め、副題に「画像技術の基礎と応用」とつけた。材料、プロセス、システムの基礎から応用まで扱うという主旨である。その後、電子写真感光体の主流がカルコゲナイドから有機半導体へと移っていった。そのきっかけは、セレンや硫化カドミュウムが毒性のために使えなくなるということであった。カルコゲナイドの後継材料としてシリコンが注目されていた。しかし、この材料には多くのバリエーションがないため、先行技術の特許による縛りが強く、広く採用されるに至らなかった。ということで、有機感光体の開発が急がれた。
1988年に研究討論会の名称を「Japan Hardcopy ‘88」とし、副名称として従来の「第61回電子写真学会研究討論会」を付けた。これによってハードコピー全般を本学会の領域に取り込む意志を広く示した。その10年後の1998年には、学会名称を「電子写真学会」から「日本画像学会」に改称し、ディジタル化とこれをベースにした多様な画像技術に対応できるよう変革した。2006年には、電子ペーパーやディジタル・ファブリケーションの分野も扱えるように研究討論会の名称を「Japan Hardcopy ‘06」ではなく「Imaging Conference Japan 2006」とした。そして、今年の法人格の取得である。
本学会はこれまで関西支部を置いていた。関東地域と関西地域が飛行機や新幹線で身近に結ばれているとはいえ、関東地域で開催される研究討論会や講習会、シンポジュウムなどに関西から参加するのは経費的に少しバリアがある。不況のときには特に厳しい。インターネットで情報がどこからでも取れる現在でも、会場に出向いて情報収集することが重要である。発表した人の思い入れや発表された成果に興味をもつ聴衆者が多いかどうか、その受け取り方はどうなのかも重要な情報であるからである。このような観点から関西支部の活動が行われている。しかし、法人格の下では支部は事務所をもたなければならない。関西支部の規模はそれほど大きくないので名称を関西委員会と変えた。ただし、これまでと同様の活動を続ける。なお、私は最後の支部長を務めたことになる。
関西委員会を含め11委員会体制である。つまり、編集委員会、技術委員会、コンファレンス委員会、事業委員会、運営委員会、選奨委員会、財務委員会、国際交流委員会、広報委員会、企画委員会からなる。これら個々の委員会の活発な活動が当学会の活性化の鍵である。10年ほど前からだと思うが、毎年夏に役員研修会が開催されてきた。今年も予定されている。そこでは、理事全員が2日間あるいは1日缶詰状態になって、学会の体制や扱う分野領域、それぞれの委員会の在り方などについて喧々諤々と議論する。この研修会活動が、本学会の近年の発展を支えてきた原動力になっているといっても過言ではない。
本学会が当面取り組まなければならない主要課題として次のものがあげられる。1)紙媒体と電子媒体とがどのように共存するのかの将来像の構築。2)画像評価に対して受け手である人の感性をどのように定量的に取り入れるか。3)シミュレーション支援による研究開発促進は今後益々重要になる。シミュレーションツールの開発と情報の共有化をどのように進めるか。4)シーズ研究とニーズ開発の調和のある推進のための情報共有化をどのように図るか、などである。前の3つの項目は、今年6月に開催されたICJ2010で企画されたワークショップでも議論されたところである。最後の項目は、良いシーズが開発されてもタイムリーにそれを生かし切る新しい製品コンセプトが作れないということのないように。また、社会要請の高い新しい製品コンセンプトがあれば、これもタイムリーに開発できるような情報共有を意図している。
画像技術の研究開発にたずさわる技術者、研究者にとって、本学会が忌憚のない情報交換の場であり、将来の羅針盤的な役割を果たせるよう努力したい。
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