English_version ISJ, 日本画像学会, The Imaging Society of Japan
【会長メッセージ】

面谷 信
      
【会長への就任にあたって】
(日本画像学会誌、Vol.55, No.4(2016) 「巻頭言」として掲載)
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    本年4月より、日本画像学会の会長職を半那前会長の後任として務めさせて頂いております。会長就任にあたって、まず学会の存在意義、特に実用技術を扱う学会の意義について所見を述べたいと思います。もし世の中に学会という組織が存在しなかったらどうなっているでしょう? 同業各社はライバル同士として技術情報の発信は敢えて行わず、特許情報以外には情報が出ていく心配もなければ、入ってくる期待もない状態が想像されます。このような「井の中の蛙」あるいは「たこつぼ点在」の状態は、技術進歩の点では非常に非効率です。学会の大きなミッションはこの「井の中の蛙」化の防止にあると考えられます。ライバル同士も、支障無い範囲で自慢の技術や研究成果を披瀝し合うことにより刺激を受け、技術を磨き合う方向のヒントやモチベーションを得ることができると思われます。また学会コミュニティにおいて、ライバル各社の技術者も同じ志を持つ同士として共感し合い刺激し合うことによって、より広い視点やより高いモチベーションで個々の開発に励む効果が期待されます。もちろん会社間の交流に限らず、産業界と大学や研究機関との間の相互刺激や情報交換の意義が大きいことは言うまでもありません。産業界では取り組みにくい先駆的・長期的課題への取り組み成果や、深掘りの成果を産業界にフィードバックする場として、あるいはそれ以前に大学や研究機関にとっての研究課題発見の場としても、学会の役割は大きく期待されます。
    日本画像学会は、幸いこのような存在意義を比較的うまく発揮して来たのではないかと思います。電子写真技術をはじめとする画像技術の本学会における産々/産学/学々間の技術交流は、日本の技術水準を底上げし国際競争力を高めると同時に、世界規模での技術進化や研究進展にも貢献して来たのではないでしょうか。また、画像技術分野に風通しの良いコミュニティを形成し、産学の各分野の技術者研究者が組織の垣根を越えて交流し刺激し合う貴重な場を提供できていると確信します。
    一般に各技術には寿命や世代交代があり、各学会もそれに伴って永遠の寿命を持つべきとは限らないとの考え方もあります。しかし、日本画像学会について考えると、60年近くかけて育ててきたこの貴重なコミュニティは是非とも維持発展すべきものと思えます。つまり学会の守備範囲を発展拡張してでもこの学会は健全に維持発展させなくてはならないと考えます。
    日本画像学会の存在意義についてこのような確信を持った上で、次に日本画像学会の現状と課題について考えてみましょう。実は学会自体にも「井の中の蛙」化の危険は潜んでおり、その意味で画像関連学会連合会の立ち上げと発展には大きな意義があります。日本画像学会は関連学会から刺激を受けつつ成熟技術分野からの発展や新領域の開拓を目指して行かねばなりません。そのために、この生まれたばかりの連合会を他学会と連繋し育てて行くことは当学会の重要課題のひとつです。また、日本だけで活動しているのでは、国際的観点で「井の中の蛙」化の危険があります。2015年開催の国際会議ICAIは大きな意義があったと考えられますが、今後も国際イベントの積極開催や学会誌の英文化等は当学会の重要課題として位置づけられます。
    一方このような学会の質の発展を目指す上では、実は人的財政的裏付けが欠かせません。質の高い活動を行ってもそれを享受できる会員や参加者が少なくてはもったいないですし、財政難では志高い活動も立ち行かなくなります。日本画像学会の会員数は1300人近くに達した1997年から漸減し、ここ数年900名台で推移中ですが、万一900名を割る事態になると財政的には危険水域と心配されます。多くの会員を擁することはコミュニティとしての学会の意義からも財政基盤の意味からも重要な課題です。会長在任中に少なくとも1000名の大台を回復したいと考えています。各イベント参加者の会員化、維持会員会社所属の方々の正会員化、新領域からの新会員獲得等々、様々な面から会員増を目指したいと思います。学会に関わる皆様には、個人会員であることの当座の損得を超えて、意義ある学会の維持発展に賛同し自らも貢献するdonation意識も持って頂けるよう願っています。今後、会員増へのご協力をはじめ、学会維持発展のためご協力をお願いする局面が多々あるかと思いますので、何卒ご協力をお願い致します。
    1958年の「電子写真懇話会」設立を原点とする本学会は2018年には60周年を迎え、論語で言えば「耳順」に達します。アンテナ感度・吸収力・咀嚼力をますます高めつつ、この貴重なコミュニティの発展を共に目指し、かつ享受しようではありませんか。


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